|
ヨーロッパ北部、スカンディナヴィア半島に位置する国スウェーデン。 本展は近年世界的に注目を集める、スウェーデン美術黄金期の絵画を本格的に紹介する展覧会です。
スウェーデンでは、若い世代の芸術家たちが 1880 年頃からフランスで学び始め、人間や自然をありのままに表現するレアリスムに傾倒しました。 彼らはやがて故郷へ帰ると、自国のアイデンティティを示すべくスウェーデンらしい芸術の創造をめざし、自然や身近な人々、あるいは日常にひそむ輝きを、親密で情緒あふれる表現で描き出しました。 |
1890 年代以降、スウェーデンの風景画は新たな展開を迎える。 かつて 「描くべきもののない国」 とさえ言われたスウェーデンであったが、森や湖、山岳地帯、岩礁の続く海岸線、群島など、この国ならではの厳しくも豊かな自然が、画家たちによって改めて 「発見」 され、それを描くにふさわしい表現が模索されていった。 |
会期: 2026 1/27 [火]~ 4/12 [日] 開催中です。 |
|
'2026 1_26 「スウェーデン絵画 北欧の光、日常のかがやき」 報道内覧会展示風景・プレスリリース、 |
|
画像をクリックすると大きな画像でご覧いただけます。 |
|
・画像をクリックすると 【展覧会概要説明/トークセッション】 展覧会概要説明中江 花菜(本展担当・東京都美術館 学芸員)、トークセッション パール・ヘードストゥルム氏 (スウェーデン国立美術館 展覧会部門ディレクター)、皆川 明氏 (minä perhonen デザイナー) のスピーチがご覧いただけます。 |
「スウェーデン絵画 北欧の光、日常のかがやき」 |
「スウェーデン絵画展 北欧の光、日常のかがやき」 展覧会の見どころと展示構成 |
|
1.100% スウェーデン! 展示作品はすべてスウェーデン人作家によるもの。 スウェーデンならではの厳しくも豊かな自然や、日常へのあたたかなまなざしが作品に表現されています。
「自然」「光」「日常のかがやき」 をキーワードに、現代のスウェーデンを象徴するウェルビーイングな暮らしのルーツを作品の中に感じることができるでしょう。 |
|
目次| Contents |
|
|
'2026 1_26 「スウェーデン絵画 北欧の光、日常のかがやき」 報道内覧会展示風景・プレスリリース、 |
|
画像をクリックすると大きな画像でご覧いただけます。 |
画像をクリックすると 「【 Ⅱ パリをめざして―フランス近代絵画との出合い 】 & 【 Ⅲ グレ=シュル=ロワンの芸術家村 】」の拡大画像がご覧いただけます。 |
|
【 Ⅰ スウェーデン近代絵画の夜明け Introduction - Prehistory of Swedish Modern Painting 】 |
|
スウェーデンでは、他の北欧諸国に先駆けて 1735 年に王立素描アカデミーが創設され、1810 年には王立アカデミーと改称された。 アカデミーではフランスにならった伝統的な美術教育が行われ、自国スウェーデンの歴史を描くことが奨励されていた。 19 世紀半ば、スウェーデンの美術は、諸外国の美術、とりわけフランスやドイツのロマン主義的理念から大きな影響を受けていた。 その影響が特に顕著に表れたのが風景画である。 デュッセルドルフの美術アカデミーでは、1833 年より風景画の特別授業が開講され、徹底的な自然観察に基づき、崇高な自然の姿が技巧を凝らして描き出された。 1850 年デュッセルドルフで学んだ北欧の画家たちの作品を紹介する展覧会がストックホルムで開催され、これが一つの契機となってマルクス・ラーション(no.5) らスウェーデンの画家たちがこの地をめざすようになる。 同地で学んだスウェーデンの画家たちは、技法や様式においてはデュッセルドルフ派の影響を色濃く受けながらも、題材にはスウェーデンの自然や歴史に根差した主題を積極的に取り上げた。 1850-1860 年代には、キーリアン・ソルやエードヴァッド・バリ、アルフレッド・ヴァールバリなど、多くのスウェーデン人画家がデュッセルドルフを訪れ、この地で学んだ。 1870 年になると、芸術の新たな風がスウェーデンに吹き込まれる。 デュッセルドルフで学んだ最後の世代であるアルフレッド・ヴァールバリは、パリへ移り住み、当時のフランスで主流であった戸外での風景画制作という新しい理念をスウェーデンの画家たちに伝えた。 |
|
左・no.1 ニルス・ブロメール (1816-1853) 《草原の妖精たち》 1850 年(年記) 油彩、カンヴァス 115 x 143 cm スウェーデン国立美術館 / ・no.2 イエーオリ・フォン・ローセン (1843-1923) 《大ステーン・ステューレのストックホルム入城》 1864 年(年記) 油彩、カンヴァス 90 x 140 cm スウェーデン国立美術館 / 右・no.5 マルクス・ラ-ション(1825-1864) 《荒れ狂うボーヒュ-スレ-ンの海》 1857 年(年記) 油彩、カンヴァス 40 x 52 cm スウェーデン国立美術館 |
|
・no.1 ニルス・ブロメール 《草原の妖精たち》 スウェーデン独自の芸術の確立を目指したブロメールは、北欧の神話や民間伝承を主題とした最初の画家である。 黄昏時に、薄い衣を身にまとった少女たちが、草原で手をつなぎ輪になって踊っている。 彼女たちはこの地に宿る妖精。 神秘的な情景の彼方にはスウェーデン建国の父グスタヴ・ヴァ―サ(Gustav Vasa. 在位1523-1560 年) が建設したグリップスホルム城(Grpsholms slott) のシュリエットが見える。 / ・no.2 イエーオリ・フォン・ローセン 《大ステーン・ステューレのストックホルム入城》 デンマークの支配下にあったスウェーデンは、1471 年のブルンケバリ(Brunkeberg) の戦いでデンマークの王クレスチャン 1 世に勝利した。 描かれているのは、この戦いを率いてスウェーデン軍に大勝をもたらした大ステーン・ステューレ(ca. 1440-1503) がストックホルムに入城する場面。 ブルンケバリの戦いにまつわる主題は 「宿敵」 デンマークに対する勝利の象徴として、ナショナリズムの高まりに呼応して 19 世紀にたびたび取り上げられた。 本作はスウェーデン王立美術アカデミーからメダルが贈られた。/ ・no.5 マルクス・ラ-ション 《荒れ狂うボーヒュ-スレ-ンの海》 デュッセルドルフで学んだラーションは、細部描写と演劇的な光の描写を駆使したドラマチックな風景画で人気を博した。 本作ではスウェーデン南西部の海岸を舞台に、猛威を振るう自然と難破する船が壮大に描かれている。 スポットライトのような光の処理が、「見るべき場所に」 視線を誘導し、入念に描写された細部が場面に迫真性を与える。 |
|
画像をクリックすると 「【 Ⅴ 現実のかなたへ―見えない世界を描く 】 & 【 Ⅵ 自然とともに―新たなスウェーデン絵画の創造 】」の拡大画像がご覧いただけます。 |
|
【 Ⅳ 日常のかがやき―“スウェーデンらしい ”暮らしのなかで Seeking the Swedish Identity - Images of Life and People 】 |
|
1880 年代の終わりごろになると、フランスで制作をしていた多くのスウェーデン人芸術家たちは、母国のそれぞれの故郷へと帰っていった。 経済的な事情や、パリという都会の喧騒に疲れ、郷愁の念が高まったこともその一因だろう。 だが、最大の理由は、フランスでの経験を経て 「スウェーデンらしい」 新たな芸術を築きたいという願いが、彼らの中に芽生えたことにあった。 フランスで自然主義やレアリスムの手法と感性を磨いた画家たちは、スウェーデンへの帰国後、最も身近な存在である家族との暮らしや、制作をともにする気の置けない仲間たちの姿に目を向け、その飾らない様子を親しみやすい表現で描いた。 こうした絵画の制作は、まるで日常に隠れた小さな 「かがやき」 をそっと見つけ出し、ひとつひとつ丁寧に拾い集めていく、かけがえのない営みの繰り返しのようにも感じられる。 なかでも 「スウェーデンらしい暮らし」 のイメージをかたち作ったのは、カール・ラーション(no.31) である。 彼は、妻のカーリンとともに改装を重ねたスンドボーンの家 「リッラ・ヒットネース」(Lilla Hyttnäs) に暮らし、その室内の装飾や日々の出来事、季節ごとの行事などを生き生きと描写した。 |
|
左・no.31 カール・ラーション (1853-1919) 《カードゲームの支度》 1901 年(年記) 油彩、カンヴァス 68 x 92 cm スウェーデン国立美術館 / ・no.40 ハンナ・パウリ (1864-1940) 《グランドピアノにて》 1892 年(年記) 油彩、カンヴァス 38 x 46 cm スウェーデン国立美術館 / 右・no.49 オスカル・ビュルク(1860-1929) 《エウシェーン王子》 1895 年 油彩、カンヴァス 100 x 150 cm スウェーデン国立美術館 |
|
・no.31 カール・ラーション 《カードゲームの支度》 画集 『ある住まい』 を通じて、ラーションの住まいは 「スウェーデンらしい暮らし」 の象徴となった。 カールは村の大人たちを招き、ヴィーラというカードゲームを楽しむつもりで、妻のカーリンと子どもたちが、お酒やお茶を準備している。 暗く凍てつく冬の戸外とは対照的に、オイルランプとろうそくの灯りが、この家庭の温かく幸せな情景を優しく照らしている。 / ・no.40 ハンナ・パウリ 《グランドピアノにて》 ハンナ・パウリは、肖像画や温かみのある家庭の情景で人気を博した画家。 カーテンを通して和らいだ明るい光のなか、グランドピアノに向かう少女は、家庭的な安らぎや喜びなどの感情を呼び起こす。 ハンナは、本展で紹介するイエーオリ・パウリ(no.24) と結婚後も、芸術家として自分らしく生きる道を選び、夫婦は対等な関係でそれぞれ画家としてキャリアを積んだ。 / ・no.49 オスカル・ビュルク 《エウシェーン王子》 ビュルクはスウェーデンへの帰国後、王族や有力市民の肖像を描いて人気を博した。 絵のモデルのエウシェーン王子は国王オスカル 2世の末子で、スウェーデン絵画の黄金期を代表する風景画家のひとり。 彼の良き友人であったビュルクは、エウシェーン王子を王室の一員としてではなく、創作に真摯に向かい合う一人の画家として表した。 |
|
|
画像をクリックすると 「 スウェーデンとストックホルム近郊 」 が大きな画像でご覧いただけます。 |
|||
|
スウェーデン国立美術館について ・スウェーデン国立美術館外観 |
|||
|
スウェーデン国立美術館は、美術、デザインに特化したスウェーデン随一の美術館であり、北欧の最も重要な美術品、ならびに工芸作品のコレクションを収蔵する美術館の一つである。
その起源は 1792 年にさかのぼり、スウェーデン国王グスタヴ 3 世(Gustav Ⅲ、在位 1771-1792 年) の美術コレクションを王立美術館として公開したことに始まった。
同館のコレクションは開館以来絶えずその数を増やし、現在では約 70 万点を数え、絵画、彫刻、素描、グラフィック・アート、工芸、そしてデザイン分野を網羅している。
いわゆるファインアートや工芸、デザインの分野では、おおむねルネサンスから 20 世紀初頭までの作品を収蔵し、なかでも工芸とデザインについては、近代・現代を代表する重要な作例が含まれている。
同館のコレクションは、王室のパトロンや個人コレクターたちによって収集された美術品を基盤としており、なかでも 18 世紀のコレクター、 カール=グスタヴ・テスィーン伯爵(Carl
Gustaf Tessin, 1695-1770) は特筆すべき存在である。 彼の作品収集はスウェーデン大使としてパリに短期間駐在していた際に行われ、収集した
18 世紀フランス絵画や素描、17 世紀オランダ絵画は、オールド・マスターの世界水準の素描コレクションとともに同館に収蔵されている。 スウェーデンのグスタヴ朝時代の作品から、スカンディナヴィアのモダンデザインの先駆にいたる装飾芸術の優れた作品を収蔵していることも特色の一つである。 |
|||
|
スウェーデン国立美術館、ストックホルム |
|||
|
スウェーデン国立美術館は、1792 年に首都ストックホルムに開館した、ヨーロッパで最も歴史ある美術館の一つです。 スウェーデン王室のコレクションにルーツを持つ同館の収蔵品は、1500 年から 1900 年までの絵画、彫刻、素描、版画、そして中世初期から現代にいたる工芸、デザイン、肖像画を含みます。 現在、美術館が入る建物は 1866 年に竣工し、階段壁面のフレスコ装飾は本展出品作家であるスウェーデンの国民的画家カール・ラーションが手掛けました。 |
|||
お問合せ:tel 050-5541-8600(ハローダイヤル) |
主催:東京都美術館(公益財団法人東京都歴史文化財団 )、NHK 、NHKプロモーション、東京新聞 |
|
参考資料:東京都美術館開館100周年記念「スウェーデン絵画 北欧の光、日常のかがやき」図録、報道内覧会、PRESS RELEASE & 報道資料 、展示パネル他。 |
ご意見ご感想は yashio@mui.biglobe.ne.jp |
|
Copyright © 2002-2026 Yashio.ALL Rights Reserved. |
||||